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水稲病害虫について

2022-04-05

いもち病

最も重要な病害であり、イネの生育期間を通じて発生しイネの各部を浸し発生部位により「葉いもち」「穂首いもち」などと呼ばれています。
病斑の種類からいくつかの形に分けられます。
・病斑が円形〜楕円形で、一様に灰緑色〜暗緑色の病斑で最も伝染力の強い症状です。病気が進展すると、「ずり込み」症状を引き起こします。
置苗は長時間放置すると葉いもちの伝染源となるので、補植を終れば早期に処分してください。
穂首いもち:稲作栽培期間の中〜後期の感染では著しく稔実が悪くなる。

<伝染経路と発病条件>
ワラで越冬した病原菌が第1次伝染源となります。いもち病菌の発芽には水滴を必要とします。また、10〜35度の温度範囲で発芽します。降雨日数と降雨回数が多く、葉上で水滴が長時間保持される場合に発生します。

紋枯病(もんがれびょう)

本病は、年により発生に変動はありますが「いもち病」に次ぐ重要病害です。

<伝染経路と発病条件>
稲株などで越冬した菌核が第1次伝染源となります。代かき作業により菌核は水田水に浮上し、移植後に稲体表面に付着します。稲の生長と入水により、病斑が上位進展し減収の要因となります。

もみ枯細菌病

育苗期〜本田後期にまで発生します。苗に発生した場合、発芽や苗立ちが悪く葉は黄化したり、褐変し変形したりします。本田では、傾穂期に籾の一部または全体が淡褐色となり傾穂せず、突立った状態となります。

<伝染経路と発病条件>
発病には出穂期前後に発病に好適な気象条件が必要なため、発生の年次差が大きい病害です。高温・多照年に発生しやすく、出穂前後に雨が多いと多発します。

内穎褐変病(ないえいかっぺんびょう)

出穂後に内穎部付近から紫褐変し、やがて内穎全体が暗褐変します。

<伝染経路と発生条件>
出穂開花中に穎内に菌が侵入して内穎の変色を引き起こし、出穂期の降雨は本病の発生を助長します。症状がある程度発生しても、大きく収量・品質には影響しません。ただし、1穂に発病籾数が多くなると茶米や不完全米になることが多くなります。

縞葉枯病(しまはがれびょう)

ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病です。田植えの直後から病微が現れ、新葉はコヨリのようによじれて長く伸び、湾曲して枯れます。葉の葉脈に沿って幅の広い黄緑〜黄白色・縦縞を生じ、カスリ状となります。病株では穂は出すくみとなるが、出穂しても奇形となり稔実はしません。

<伝染経路と発病条件>
幼苗期が最も感染しやすく、15〜20日の潜伏期間を経て発病します。病葉を吸汁したウンカはウイルスを永続的に媒介します。

ヒメトビウンカ

縞葉枯病や黒条萎縮病を媒介します。麦作の減少で全国的発生は減少しましたが、最近になって再び増加傾向にあります。

<生態と被害>
麦や果樹園のイネ科植物やレンゲ等で越冬し、幼虫は水面に落花すると後脚を八の字形に伸ばします。セジロウンカやトビイロウンカの幼虫は両後脚を体と直角に伸ばしますので判別可能です。茎葉の吸汁加害のほか縞葉枯病と黒すじ萎縮病を媒介します。

セジロウンカ

夏ウンカと呼ばれ、海外飛来虫で6月下旬〜7月中旬に飛来します。日本ではこの時期の飛来虫の多少が直接被害発生と関係が深く、幼虫の発生ピークは7月下旬に現れ、全面倒伏、生育抑制、被害籾の発生を起こします。

<生態と被害>
長い口をイネの導管や師管に直接差し込んで水分や栄養分を吸い取ります。飛来数が多い年は出穂前のイネの生育が悪くなり、圃場全体が黄化することがあります。

トビイロウンカ(秋ウンカ)

秋ウンカと呼ばれ、稲の株元で繁殖し増殖率が高く被害も急激に進みます。出穂期以降で最も注意が必要な害虫です。

<生態と被害>
発生源は中国大陸から偏西風によって飛来します。9月に入りトビイロウンカの発生があれば、吸汁加害による坪枯れ被害を起こす可能性が高くなります。圃場を見た際、部分的に葉色が薄くなったところがあれば株元を確認してください。見つけ次第早急に薬剤防除を行いましょう。

カメムシ類

ホソハリカメムシ、クモヘリカメムシ、アカスジカスミカメ、アカヒゲホソミドリカスミカメ等、斑点米の原因となるカメムシは15種類です。

<生態と被害>
いずれの種類も年に2〜4回発生します。越冬は成虫で行い、アカヒゲホソミドリカスミカメは卵で越冬します。出穂前は水田以外の雑草地等で生活し、稲が出穂すると水田へ次々と飛来し穂を吸汁します。カメムシの吸汁による食害痕が斑点として残るため米の等級低下の要因になります。

ニカメイチュウ(ニカメイガ)

一部を除き年2回(第1回5月〜7月、第2回8月で地域や年次で異なります)発生し、稲わらや稲株内で幼虫越冬します。

<生態と被害>
幼虫は稲の葉鞘に食入し、内部から食害します。第1世代幼虫の被害はさや枯れ、流れ葉、心枯れとなり、第2世代では出すくみ、白穂となります。イネの切り株や放置された稲わらが好適な越冬場所になるので、冬場の圃場耕起が重要です。

イネツトムシ(イチモンジセセリ)

多発すると葉身を全部食害し非常に目立ちます。毎年発生する圃場が決まっている傾向があります。

<生態と被害>
普通年3回発生で時に4回発生することもあります。第1回6月、第2回7月下〜8月上旬、第3回9月で、第2回成虫が主として稲に産卵します。被害は葉色の濃い品種、多肥、遅植で多発し、被害が大きくなります。

コブノメイガ

セジロウンカ、トビイロウンカと同様に海外からの飛来害虫です。主な飛来は6月下旬〜7月上旬に見られ、その後2〜3世代を経過します。

<生態と被害>
成虫は窒素過多、遅植え等の葉色の濃い稲に集中して産卵します。幼虫は葉をつづって内部から食害し、食害された部分は白変する。被害が大きい部分は止葉の食害です。また、肥料の効いた生育の良い稲に集中します。

ツマグロヨコバイ

イネ萎縮病、黄萎病、矮化病を媒介する一方、秋期の吸汁加害も無視できません。

<生態と被害>
年4回発生が主体で一部5回発生。幼虫で越冬し、第1世代幼虫はスズメノテッポウでよく繁殖します。ウイルス病は第1世代幼虫または第2回成虫が主に媒介し、吸汁加害は主に3世代幼虫または第4回成虫によるものです。

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